書讀む月日

言葉の数だけ世界は拡がる

クラシック音楽、未聴音源が山のようになる問題〜未聴音源ができる理由と結び

前回の記事では、聞き手の成長とは、そのとき聞いた実演奏や音源がたとえ駄演凡演であったりいい演奏だけど気に入らなかったとしても次も聞こうと思う意欲を持ち続けること、とした。今回は、そうした聞き手の成長がどう未聴音源の発生や増加を促すかについて書き、最後に結びを置きたい。

 

実演を聞く機会がなく音源しか音楽鑑賞の手段がない場合、同じ音源を聞き続けるクラシック音楽ファンは多くはないし、観測範囲ではのめり込むほど音源を増やし続ける。

未聴音源は、先ずは単純に「飽きたので他の演奏や曲を聞いてみたい」と思うことから発生するだろう。

知識の獲得や視聴経験を積み重ねると、好奇心や成長によって意欲から、同じ作曲家が書いた他の作品や同じジャンルで違う作曲家が書いた作品、はたまた同じ曲を違う奏者による演奏の音源を聞いてみたく思うようになるだろう。それでボックスセットの一つでも買って好きな曲をくり返し聞くようになり、聞き終えていないうちに違う音源に興味を持ってそれを購入したらもう未聴音源の発生にチェックメイトをかけたようなものだ。ボックスセットを全部聞き終えないうちに次に聞く音源を購入してはいけないと心に決めて尚且それを維持し続けられるならともかくも、好奇心から次に聞きたい音源を購入し、聞いていないうちに購入…これが続くうちに未聴音源の山ができるのだ。

他には、作曲家や演奏家が好みではなくなった等の理由で既に買ったボックスセットの内容が気に入らなくなったから消化せずに他の音源の視聴を行うなど様々な原因があるが、未聴音源ができる理由を大きくまとめると、今聞いている音源を聞き終えていないうちに次の音源を視聴し始め、消化を行わないから。そういう単純な理由から来るのだ。未聴音源を増やさなくするためにはどうするか、これも単純なことだ。聞き終えるまで次を聞かないと決め、その決意を維持することしかない。

 

結びに代えて、そもそも未聴音源の何が問題なのかを書いておこう。これも単純だ。空間と金銭といった様々なリソースを有効に使うためだ。芸術や文化には効率や無駄ということを持ち出すのは野暮なことかもしれない。しかし、消費だけでは優れた聞き手になることはできない。もちろん消化に追いつかないほど消費してその中から消費することで意欲も聞き取ったり言語化できる能力もつくことがあろうが、リソースは有限でありすべての人が多く消費できるとは限らない。限られたリソースの中で最大限の成長を目指すことが文化や芸術の受容者としての成長であり貢献だとわたしは思う。

 

【おまけの動画】

 #新春ブラームス祭 で聞いたこの曲をお届けします。


Brahms - Piano Concerto No. 1 | Hélène Grimaud, Piano [HD]

クラシック音楽、未聴音源が山となる問題〜聞き手の成長とはなにか

シリーズの記事としては4日ぶりの記事となる。前回の振り返りをしておこう。

聞き手の成長となる要素は2つあり、1つは知識やその獲得、もう1つはCD動画の視聴及びコンサート鑑賞などの視聴経験やその蓄積である。その2つは両輪の存在であり、どちらが欠けても音楽鑑賞は成り立たない。

ざっくりとまとめればこういう話であった。

今回は、聞き手の成長について考えていく。

聞き専に限って云うと、聞き手の成長とは、端的に言えばこれからも音楽を聞き続けていきたいという意欲を持つことを主とするものである。鑑賞した曲について言語化し、旋律やハーモニー、リズムなどといった音楽作品の内容を細かく聞き分ける能力を得ることは無自覚でも身につくこともあるものなので、聞き専にとっては副次的な要素である。

何故それが成長といえるのか。どうすれば意欲を持てるようになるのか。何故成長が必要なのか。とても難しい話ではあるが、これらを示さなくては意味がない。

先ずは成長を定義してみよう。「成長とは何か」を自分の言葉で定義せよという記事の最後に

 

成長の反意語は失敗ではない。「挑戦しなかったこと」である。

 

とある。なるほど、そのとき失敗しても次に成功する可能性を抱いて挑戦すれば成功を手にする事ができるのだこれを基に演奏家の立場から聞き手にとっての成長について考えることにしよう。

わたしはアマチュアながらにヴァイオリンを弾き、アマチュアオーケストラのメンバーになり、定期演奏会での演奏に参加した経験がある。そうした立場、や経験からすると、お客さんが来場し最後まで聞いていただけることがとてもありがたいことである。興味はそれほどないが友人が出演するから付き合いで来場した、という理由で来場して多少なりとも興味を持つようになり「よかったな、また来よう」と思っていただき次回も来場する可能性があるということは、次回もいい演奏であることを期待することに他ならない。また、その回が拙い演奏で気に入らなかったとしても「次回はいい演奏かもしれない」、そう思って来場を考えることだってある(尤も、これはある程度の経験を得ているお客の場合であることが多いが)。次も聞きたいと思うことは可能性に賭けることであり、それは紛れもない成長である。聞き手にとってはどうだろう。趣味を持つ、持続させることに動機や意欲が必要だからである。

また、どうすれば意欲を持てるようになるのか。細やかな因果関係を書くことは困難なので詳細な記述を行わないが、大きく分けて2つのケースで意欲を持つようになる理由がある。1つ目は経験の乏しい場合は、聞き手にとって演奏や奏者をとても気に入り次も聞こうと思うようになることで、もう1つのケース、経験の多い場合では過去に奏者を気に入って次回の来場への機会を得たからだろう。奏者においてはいい演奏を聞き手に提供し、聞き手においてはいい演奏を得たり奏者のファンとなることが聞き手の意欲を引き出す手段や動機となる。

そして成長が必要な理由については、アマチュア奏者や音楽業界にとっては自明のことである。来場や音源購入、サブスクリプションの契約には動機や意欲が不可欠であるから。聞き手にとっては成長、つまり次回に賭けることそのものが必要であるからだ。

 

以上のように、聞き手の成長とその理由を考えてきた。次回は、聞き手の成長がどう未聴音源の発生や増加を促すかを考えて、結びを書いていきたい。

 

【おまけの動画】

重い文章だったので気分を上げていただきましょう。

 

 

 

#新春ブラームス祭

未聴音源はわたしも多く抱えていて、ドイツ・グラモフォンから出ているブラームス:作品全集もその中の一つである。特に声楽曲に未聴のものが多い。

ピアノ小品も室内楽も良作ばかりなのだから声楽曲もいいものばかりに違いがなかろうに、勿体ない。機会を設けて聞かねば。帰省したときに自室のオーディオで元旦から聞き始めるのはどうだろう?と思いついたわけだ。

声楽曲はもちろんこのボックスセットから。 

Brahms Complete Edition

Brahms Complete Edition

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
  • 発売日: 2009/06/01
  • メディア: CD
 

 ドイツ・グラモフォンから発売された、あらゆる奏者や歌手によって演奏された交響曲管弦楽曲室内楽ピアノ曲・オルガン曲・独唱曲・重唱曲・合唱曲といった作品番号のついた全作品と一部の作品番号がつけられてないもので主要なものを収録したセットである。すべての演奏や録音が優れているかどうかはともかく、持っていて損はない一品であろう。

交響曲管弦楽曲・協奏曲・室内楽曲・器楽曲の多くは別のCD・配信音源を使うことにした。

交響曲はこちら。 

Brahms: Symphonies Nos. 1 & 3

Brahms: Symphonies Nos. 1 & 3

Brahms: Symphonies Nos. 2 & 4

Brahms: Symphonies Nos. 2 & 4

管弦楽は、2曲のセレナードを全集から、他オリジナル3曲は

ブラームス:交響曲全集

ブラームス:交響曲全集

 

 から。シェーンベルクが編曲したピアノ四重奏曲第1番の管弦楽版もちゃんと聞く(編曲ものは元曲を聞いたあとに視聴するという方針)。

tower.jp

さて、協奏曲。二重協奏曲を除いては、指揮と管弦楽クリスティアンティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデンによる録音をとろうと思う。ヴァイオリンはリサ・バティアシュヴィリ、ピアノはマウリツィオ・ポリーニによるもので。 

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

  • アーティスト:ポリーニ(マウリツィオ)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2011/11/02
  • メディア: CD
 
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲/クララ・シューマン:3つのロマンス

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲/クララ・シューマン:3つのロマンス

 
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番

 

 二重奏曲は全集から、ヴァイオリン:アンネ・ゾフィー・ムター、チェロ:アントニオ・メネセス、指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン管弦楽ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

室内楽PHILIPSから出ていた室内楽曲全集

www.amazon.com

を基本に、クラリネットとピアノのためのソナタのヴァイオリン編曲版を、ヴァイオリン:ウルフ・ヴァーリン、ピアノ:ローランド・ペンティネンで

tower.jp

tower.jp

同曲のヴィオラ版は全集からのもので。

器楽曲、ピアノソナタ第1番と初中期ピアノ小品はユリウス・カッチェン(第2ピアノ:ジャン・マルティノン)によるピアノ曲全集 

Works for Solo Piano

Works for Solo Piano

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 1997/11/11
  • メディア: CD
 

ピアノソナタ第2・3番はクラウディオ・アラウの録音集 

Brahms: Works for Piano

Brahms: Works for Piano

 

 変奏曲はすべてペーター・レーゼルによるピアノ曲全集(紹介作品はBerlinClassicsからリリースされているピアノ独奏曲録音を収録したもの)  

Works for Piano

Works for Piano

 

作品116から作品119までの小品集はニコラ・アンゲリッシュによるもの(画像はWarnerClassicsからリリースされているピアノ独奏曲・協奏曲・室内楽曲を収録したもの)を聞いていく。

Nicholas Angelich - Brahms : Piano Concertos / Piano Warks / Chamber Music

Nicholas Angelich - Brahms : Piano Concertos / Piano Warks / Chamber Music

  • アーティスト:J. Brahms
  • 出版社/メーカー: Warner Classics
  • 発売日: 2017/08/18
  • メディア: CD
 

ピアノ4手・2台ピアノのための作品は、ピアノ五重奏曲の元のアイデアだった2台のピアノのためのソナタの演奏はヴァレリー・アファナシエフとヴァジム・スハーノフによるもの 

ブラームス:2台のピアノのためのソナタ/ロシアの思い出
 

 その他4手・2代のピアノのための作品とオルガン曲は全集から。

 

さて、何日かかるだろう。聴き通すのが目的で、1曲1曲を吟味するのは二の次となるが、声楽曲、特に独唱・重唱曲は聞いているうちにお気に入りのものが見つかるかもしれない。

曲の解説などは、吉田秀和 著、歌崎和彦 編『ブラームスの音楽と生涯』音楽之友社,2000年 

吉田秀和『ブラームスの音楽と生涯』

吉田秀和『ブラームスの音楽と生涯』

 

 を基本とし、演奏時間が長い曲で譜例などを確認する余裕のある場合は『ブラームス 作曲家別名曲解説ライブラリー7』 

ブラームス 作曲家別名曲解説ライブラリー 7

ブラームス 作曲家別名曲解説ライブラリー 7

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 2008/04/28
  • メディア: 単行本
 

を参照していきたい。 

 

 

 

 

月並みだけど、今年を振り返る〜音楽活動が充実した平成31年・令和元年

【音楽活動】

去年の12月から、フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調 全曲を習うことを目的にヤマノミュージックサロン仙台に入会、ヴァイオリンのレッスンを始めた。このことは以下の記事から始まるシリーズ(明日以降続編を投稿)を参照してもらうとして、3月から第1楽章、第2楽章、10月下旬に行われる発表会で取り上げる第4楽章、第3楽章の順に習っていった。1曲みっちり練習してレパートリーに取り入れるのはソナタでは初めてのことで、これはこれから楽器を弾いていく上で自信につながっていくと思う。これからもいいアンサンブルができるように技術を磨いていきたい。

山野の企画でGo!Do!コンサートというのがあり、山野の生徒が様々な形態のアンサンブルに参加し、有名ホールで演奏できるというものである。2年おきに開催されるようで、前回は東京芸術劇場で行われた。初参加となった今年3月の会はサントリーホールで開催。

f:id:schumannian:20191231234522j:plain

サントリーホール舞台上1

仙台教室のメンバーはオーケストラに参加可能で、いつも客席から眺める舞台に立てる…これはやるっきゃない。再入学でそれほど金持ちではない学生にとって27000円という参加費は安くはないが魅力的であり、勧誘されたら二つ返事で参加することにした。これも詳細はまたあとということにしよう。

とにかく、3月10月と11年ぶりにオケで、9年ぶりに室内楽でのステージに立ててよかった。

【学業】

これが例年通り体調不良が続きあまりパッとしない。18年度後期は単位数としては振るわなかったけれど、なんとか卒業論文を提出する権利は得た。また、今年度前期でようやく全学教育で課せられた単位を揃えることができ安心している。あとは今年度後期で全単位取得できれば卒論以外の単位を揃えることができるという算段である。しかし、今年は一層体調が厳しい。1つ落として次年度前期に1つ残すことになるかも。

また、取り上げる題目を構想発表の直前に変えたり体調不良にて全く手がつけられなかったりで来期に延期することとした。ちなみに、次が在学できる年限としては端数の4ヶ月を計算に入れなければ最後となる。気を入れ直して取り組みたい。

【人間関係】

恋をしている。2週間前に告白して交際は断られたものの脈はあるらしい。好印象を維持し続けたいものだ。

Go!Do!コンサートでの共演者とは、メンバーの誰かが主催する飲み会には参加はしているものの、話が合わない印象。どうにかして打ち解けようとも思えないが、同年代の友人がいないので関係は維持しておきたいものである。どういうつながりで新たな関係が生じるかわからないものだから。

 

これで今年の振り返りとしよう。では良いお年を。

 

【おまけの動画】

やはり締めくくりとしては発表会で弾いたこの曲で。


Franck Violin Sonata #4 Movement Kyoko Takezawa 竹澤 恭子

クラシック音楽、未聴音源が山となる問題〜聞き手の成長を構成するものとは 編

前回のまとめ】軽音楽が編集技術の向上や記録媒体の発展にかかわらず一曲の長さにはそれらの要素は影響しないので一曲の長さは変わらず、更にはサブスクリプションサービスの展開で音源購入の必要すらなくなった。クラシック音楽でも編集技術の向上や記録媒体の発展、サブスクリプションサービスの展開はなされているのに何故未聴音源はできてしまうのか。そう問題を提起した。最後に、この記事で聞き手の成長とは何かを考えていくことを提示したところで終わった。

 

先ずは聞き手の成長を構成する要素を挙げていこう。端的に云うと、知識の獲得と、視聴経験の積み上げ。この2つの要素で聞き手は成長するのだ(いつまでも成長しない人は往々にして存在する。しかし成長する聞き手はやはりいるものだし、わたしもそう在りたいと思っている)。

知識の獲得と視聴経験。この2つそれぞれについての詳細やそれぞれが聞き手の成長にどう結びつくかを考えていきたい。

1つ目の要素であるクラシック音楽における知識は、表情記号や調性、形式といった音楽用語・理論や、作曲家とその作品における特徴、演奏家、そしてなんといっても楽曲そのものである。

知識は感性を磨き楽しさを見つけ増大させるのには欠かせない。不変の感性では次々と楽しみを見出すことは難しいだろう。また、基礎的な知識を持つことで発展的な知識を持つことが可能となる。楽器演奏や評論、音楽学を志すものでなければ楽譜が読める必要はないが、旋律や主題の発見、その変化を聞いて感じ取る能力を伸ばすには知識の質や量の向上なしには成し遂げられない。

音楽にまつわる知識を増やしたところで楽曲を視聴しなければ何も始まらない。知識の獲得や評論や音楽学の手段としての音楽鑑賞は成り立つが、それを伴わない鑑賞自体は知識獲得の手段やそれを目的としているものではない。楽曲を視聴することそのものが目的である。曲を知らずに鑑賞は成り立たないのだ。

また、楽曲を演奏する人々は楽曲に次いで大切な存在である。演奏がどんな楽器を用い、どのような理論に基づいて演奏しているか…それがわかれば鑑賞を深くすることができる。

2つ目の要素、視聴経験に関しては、音源や映像の視聴と、演奏会の鑑賞に分けることができる。音源は購入するものとしてはCDやサブスクリプションサービスがあり、無料ではラジオ放送がある。映像はDVDやBlu-ray Disc、やはり管弦楽団が配信する動画サブスクリプションサービスがあり、無料有料を限らないが、You Tubeニコニコ動画など企業が提供する動画配信サービスや放送局などが行う実況放送がある。それを使えば自ずと楽曲の鑑賞ができる。

演奏会は有料無料や作曲で用いられた編成と会場の大小を問わず全世界で行われており、それに赴けば楽曲を鑑賞する事ができるのは自明のことである。

音源や映像の視聴や、演奏会に赴くことで音楽鑑賞ができ、更には知識の一つである楽曲を知り、鑑賞を深めることができる。

以上、知識とその獲得、視聴経験が聞き手の成長の要素である。これらは両輪の存在であり、どちらが欠けても音楽鑑賞は成り立たない。知識は鑑賞の手段や対象であり、演奏会は鑑賞の手段でもあり場でもある。

 

今日は疲れたのでここで終えることとしよう。続きは、聞き手の成長そのものと、それがどう未聴音源の発生や増加を促すかを考えていきたい。

【今日のおまけ動画】

今日はコミックマーケット第97回の開催2日目で、わたしのTwitter艦これ用アカウントで繋がっているお二方が作った本の購入を目的にそこに行った。その旅路の車中で聞いたものを。

1973年にベルリンのフィルハーモニーで収録された、ピアノ独奏:アレクシス・ワイセンベルク、指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン管弦楽ベルリンフィルハーモニー管弦楽団による演奏。


ピアノ協奏曲第2番(ラフマニノフ)

今年の音楽を考えるための記事は本記事で最後である。次回は今年演奏した作品についての続きやコミケで購入した本の感想を書きたい。

未聴音源についての記事の続きは1月2日に更新したい。

クラシック音楽、未聴音源が山となる問題〜導入編

未聴音源が溜まっていくのはクラシック音楽ファンにはよくある話である。

5ちゃんねるクラシック音楽板には、旧2ちゃんねる時代から続く「未聴CDの山を見て人生の残り時間を考える」というスレがあり、その歴史は2004年10月22日から始まり、現在まで29スレッドまで続いている。

QUEENの名曲 ボヘミアン・ラプソディーも発表時は、当時の市オングルレコードの収録時間の相場である約3分を優に超える5分50秒であったことでレコード会社やラジオ局から否定的な意見が出た。


Queen – Bohemian Rhapsody (Official Video Remastered)

今でこそ1枚あたり約80分を収録できるCDが安価で発売されて1曲あたりの長さも収録可能な時間の分だけ伸び、編集技術も当時とは比較にならないほど成長した。とはいえ、消費者が鑑賞に耐えうる時間や、なにより、編集の効かない実際に奏者が演奏に耐えうる時間はそう伸びるものではない。ましてや、軽音楽は売れなければいけないのだから時間は短いほうがいいのだ。未聴音源ができるにせよ、それはクラシック音楽のそれとは圧倒的に少ないであろう。今は、オーディオにこだわらないのであれば、サブスクリプションサービスを専ら使用することで物理的なパッケージを所持する必要はなくなる。

対してクラシック音楽の場合はどうだろうか。夢中に聞いていれば体感時間としてはそれほど長くは思わない場合もあるし、絶対時間としてはやはり軽音楽の1曲分より短いものも勿論存在するので、買ったときに消化していけば未聴音源はできないし、サブスクリプションサービスだけで済ませられるはずなのだ。

しかし、それが次々とできてしまうのだ。それも、聞き手として成長していくと増える量も多くなっていくのである。

何故だろうか。聞き手としての成長とは何かを次の記事で考えていきたい。

【おまけの動画】

特に意味はないけど、今日聞いた曲を。今音楽教室で見てもらっている曲。


Mozart Sonata in G, K.423 for Violin and Viola

STOP、スメルハラスメント!〜人間関係もコンサートも快適に

今はなくなったSNSから12〜13年の付き合いのあった友人から、今日Facebookの友達設定を解除されてしまいました。
1年3ヶ月前のことでしょうか。サー・サイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団による演奏会のために遠征したときにその友人 Sさんのお家に泊まらせていただいたのですが、これがわたしには耐えられぬ汚部屋でした。TVで取り上げられるほどゴミが散乱されているわけではないのですが、掃除機をかけている様子が感じられないくらい細かいゴミだらけで、十分に洗濯されているとは思えない衣服は染み付いた体臭であろう臭いを放つ。

他人の世話になっておいてこういうのは自分でもどうかと思うのですが、これでよく人を泊めようとしたな、そのときは思ったものです。お世話になっているし思ったまま心に留めておこうとしていました。その決意が崩れたのはシャワーを浴びるために浴室に入ったときでした。

浴槽が赤カビだらけで足を踏み入れたくないほどの汚さ。貸していただいたタオルからは染み付いて落としきれていない体臭というおまけ付き。

これは我慢できず、Sさんが買い物から帰ってきたときに、控えめに浴槽のことだけを指摘したのです。
以降彼はこのことを根に持ってしまったようで、Sさんに貸していたヴァイオリンを返してもらいヴィオラを借りたときに「こんなことを言う人だとは思わなかった」と云われました。

友人関係にとどめを刺したのは次のことです。返ってきたヴァイオリン、その顎当てにはびっしりと垢が付着し、顎当てだけではなくテールピースにも体臭と思しき臭いが染み付いていました。楽器店の方に掃除をお願いしたところ、「木材なので臭いはもう字除去できないです、交換するしかありません」と云われました。仕方なく、安くはない代金でテールピースと顎当てを交換しました。その代金19000円。ヴァイオリンがこの状態ですから、借りたヴィオラだって似たようなもの。だいたい同じ額の代金を払う羽目になりました。

これは1月のことでしたが、金欠もありましたが今後のSさんのためにと思いFacebookのMessengerで本当のことを伝えました。

1週間以上既読がつきませんでした。

そして今日Facebook運営からのメールによって、わたしがSさんの友達から削除されたのを知ったのです。Facebookでは、自分のアカウントでログインできないときに信頼できる連絡先を設定してそれでアカウントの回復に役立てられる機能があるのですが、友達を解除されるとその設定も同時に解除されるのです。そうして友人関係は終わり、絶交となりました。

sirabee.com

この記事にあるように、衛生観念の違いにより人間関係が壊れることがある。楽器に汚れがつくことだって、体臭のケアができてないことだって十分に絶縁のきっかけになるのです。みなさんも良好な人間関係の維持のためにも衛生や体臭ケアには気をつけて下さい。

 

ここまで、人間関係の維持において体臭ケアは大切だという話をしてきました。さてこれがコンサートの快適さにどうつながるというのでしょう。昨日の記事で話したとおり、コンサートマナーは演奏以外の要素で不愉快な思いをせずにコンサートを楽しむためにあるものです。当然、体臭だって不愉快な要素になります。また、香水のつけ過ぎだって迷惑です。なんだってやりすぎはよくないのです。

世の中自分ではどうにもできないことは多々ありますが、コンサートホールに自力で行ける人なら入浴はできるのです。自分でケアできることはやりましょう。

 

いいから風呂はいれ。

 

【おまけの動画】どうか心だけでも清らかになって下さい


Bach: Air / Koopman · Berliner Philharmoniker

コンサートマナーはコンサートの敷居を高くするか

「コンサートマナー」と「クラシック音楽の敷居」という話題は度々Twitterクラシック音楽ファンの間で話題になる。

わたしの相互フォローの方々も例に漏れずそうした話題をツイートしては反応をもらうのだ。例えばこうしたものだ。

「コンサートマナーについてうるさくいうなら、コンサートに行きたいと思うクラシック音楽初心者を遠ざけてしまうのではないか」、と。この記事では、こうした反応に対する対処やコンサートマナーが何のためにあるのかを考えていきたい。マナーが具体的になにを指しているかというのは国内の管弦楽団定期演奏会のプログラムによく書いているのでそちらを読んでいただきたい。

そもそもマナーとはなにか。それぞれの場においての礼儀作法であり、規則とは違い、法や規則のように明文化され誰でも目を通すことのできる様に普及しているものでもなければ、違反したとしても明確な罰則を与えられるものではない。しかし、マナー違反をしたことによりその場の雰囲気を乱したら大きな恥をかいて、余程厚顔無恥でなければそこにもういられなくなるであろう。

マナー違反したらどうなるか、それよりも大切なことがある。何故あるのか。その場にいる人々を不愉快にしないように、食事においては料理の味や会話を楽しむために。そして、コンサートにおいては開演から終演まで会場にいる誰しもが演奏内容以外の要素で不愉快な思いをせずに楽しむために。

コンサートマナーがどうして大切なのかを示したところで、次はコンサートマナーがコンサート初心者の敷居を上げるのかと問われることについて考えよう。先程述べたようにコンサートマナーは演奏以外の要素による不愉快さを排除して演奏を味わうためのものだ。どう振る舞っていいかわからない初めてコンサートに来たお客は他のお客に不愉快さをを与えてしまうかもしれないと同時に与えられるかもしれない可能性もある。不愉快を与えてしまったことでもうコンサートには行かないかもしれないし、不愉快になったことで行かないことにするかもしれないのだ。

敷居を下げるためにマナーの考え方としては、初心者にどう振る舞うかを教えるだけではなく、自分たちの振る舞いも正していく必要がある。先人が良く振る舞えなくて後進がその様に振る舞うことができようか。敷居を上げるのも下げるのも先人次第なのである。

結局の所、コンサートマナーの大切さを論ずるものに対して「初心者のに対してコンサートの敷居を高くするからそういうのは止めろ」というものは、初心者のことなど考えていない。大切さを論ずることが煩わしくてそれを叩くための方便としているだけに過ぎない。まともに取り合うだけ時間の無駄である。無視していいし、なにかいうにしても「知らんがな」だけでいい。

【おまけの動画】

パウル・リンケ(1866〜1946):ベルリンの風。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の野外コンサートでの定番アンコール。


Lincke: Berliner Luft / Berliner Philharmoniker (with Simon Rattle at the bass drum)

1月のコンサート鑑賞予定

5日 指揮:坂入健司郎 管弦楽:東京ユヴェントスフィルハーモニー管弦楽団

17日 紀尾井室内管弦楽団メンバーによるアンサンブルコンサート

以上はチケット購入済み。

 

もし余力があれば、29日 指揮:渡邊一正 管弦楽仙台フィルハーモニー管弦楽団 の名曲のちから オーケストラスタンダード Vol.24に行くかも。

 

途中だけどとりあえず投稿。

令和元年に演奏した曲1 セザール・フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調 その1 出会い

セザール・フランク(1822〜1890)はベルギー出身でフランスで活躍した作曲家で……
と書いたところで、クラシック音楽に親しんでいる人には既知のことであり、知らない人にとってはGoogleで検索すればわかることである。もし知らない人がいれば調べて欲しい。

誰でもわかるし調べればいい物事よりは、むしろ、自分にしかできない体験・経験を書いていきたいのだ。

なにはともあれ、先ずは曲を聞いて欲しい。曲を聞いて感じること、そのことこそが価値のあることだから、時間を割いて聞いて欲しい。7分もしない時間だ、食事をしながらでもいい。以下は発表会で取り上げた第4楽章をアメリカのヴァイオリニスト ジョシュア・ベルによる演奏を収録したものである。


Joshua Bell and Jeremy Denk Play Franck -- Sonata in A major for Violin and Piano, 4th Movement

さて、この曲を弾きたいと思ったのは2年前の10月であった。わたしは大学ではクラシック音楽研究会に入っているのだが、気が向いて久々に楽器を弾きたくなり、部室にヴァイオリンを持っていった。その数日前にクラ研所属で同じ研究室の後輩が仙台クラシックフェスティバルでこの曲を聞いたのだという。たまたまヴァイオリンを弾いているところに出くわした彼女はこの曲を弾いて欲しいとリクエストしたのである。

ヴァイオリニストがよく取り上げるらしいので楽譜を所持していて樫本大進とエリック・ル・サージュのリサイタルで聞いたことはあるのだが、さほど印象に残らなかったしその後もろくに聞いたこともなければ譜面も読まず棚を埋めるものの一部であった。

この機会に聞いてもいいか。これは、自分の音色を活かせる曲なのではないか?

弾くか!

まだ練習していなくて初見に近く、弾けてない箇所もたくさんあった、が後輩ちゃんに弾いて聞かせた。そうしたところ、いい反応をもらえたのである。

「これ、演奏会で聞いた音です!」

わたしは自分の音が好きで続けていて、そして音色を褒められるのが好きだ。気を良くしてしまったわたしはこのソナタを練習することにしたのである。

 

その2に続く。

楽器経験者は必ずしも聞き専より優れた鑑賞者ではない問題

楽器経験というのは誰にでもあるというものではない。世の中には聞き専という人の方が多い。

楽器経験がある人は、音楽の素材を聞き分けたり楽譜が読めたり楽器の使い方をよくわかっているから優れていると思われがちだ。
これが違うのだ。わたしのTwitterのフォロイーでも聞き専でも鋭い感想や批評ができる人が少なくない。わたしがヴァイオリンを弾き、楽譜が読めていても浅い感想しか出てこない様に、その人の演奏が残念だったり言葉遣いが下手だったりして的外れな感想や批評しかでてこない場合もある。

聞き専で良い聞き手であり、対して楽器経験者でそうでない聞き手であることの差、それは何か?

実は感想や批評深さ浅さは楽器経験の有無には関係がない。わたしは謙虚さが聞き手の良し悪しを隔てていると思う。

 

【おまけの動画】

2019年に行ったコンサートとライヴのまとめ

日付と出演者、曲目だけ。感想は数公演ピックアップして後で書くかもしれない。

 

1/4

「艦これ」鎮守府新春Jazzまつり2019in日本武道館 昼の部

声優:藤田咲中島愛内田秀、高尾奏音、宮川若菜タニベユミ ゲスト:龍玄とし、伊東たけし(T−SQUARE)、酒井はな(紫綬褒章受賞したバレリーナ、アナウンスはなし)

2/14

フェスティバルホール ヴァイオリン:パトリシア・コパチンスカヤ、指揮:テオドール・クルレンツィス、管弦楽:ムジカ・エテルナ

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35(ソリストアンコール=藤倉大:Kusmetche)、交響曲第6番 ロ短調 作品74

2/15

京都コンサートホール ピアノ:小山実稚恵、指揮:秋山和慶管弦楽京都市交響楽団

セルゲイ・ラフマニノフピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18(ソリストアンコール=ラフマニノフ前奏曲 ト長調 作品32の5)、交響曲第3番 イ長調 作品44

3/11

紀尾井ホール ヴァイオリン:川久保賜紀、ピアノ:小菅優 
ヨハネス・ブラームス:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 全曲演奏会

3/14

横浜みなとみらいホール ヴァイオリン:川久保賜紀、ピアノ:小菅優 
ヨハネス・ブラームス:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 全曲演奏会

3/15

日立システムズホール仙台コンサートホール 指揮:角田鋼亮、管弦楽仙台フィルハーモニー管弦楽団

ヨハン・セバスティアン・バッハ(編曲:エドワード・エルガー):幻想曲とフーガ ハ短調 BWV537、(編曲:グランヴィル・バンドック):目覚めよと呼ぶ声が聞こえ、ヨハネス・ブラームスハイドンの主題による変奏曲 作品56a、ロベルト・シューマン交響曲第2番 ハ長調 作品61

3/19

紀尾井ホール 指揮:シルヴァン・カンブルラン、管弦楽読売日本交響楽団

エドガー・ヴァレーズ:オクタンドル、オリヴィエ・メシアン:7つの俳諧、ジャチント・シェルシ:4つの小品、ジェラール・グリゼー:<音響空間>から”パルシエル”

3/21

紀尾井ホール ピアノ:ピエール=ロラン・エマール

オリヴァー・ナッセン:変奏曲 作品24、アントン・ウェーベルン:変奏曲 作品27、ジョージ・ベンジャミン:シャドウラインズー6つのカノン風変奏曲、ヨハン・セバスティアン・バッハゴルトベルク変奏曲

3/25

サントリーホール ヴァイオリン:ヴェロニカ・エーベルレ、指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ、管弦楽:東京交響楽団

ウォルフガング・アマデウスモーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.219(ソリストアンコール=セルゲイ・プロコフィエフ無伴奏ヴァイオリンソナタ ニ長調 作品115 第2楽章)、ドミトリー・ショスタコーヴィチ交響曲第4番 ハ短調 作品43

4/13

東京芸術劇場コンサートホール ヴァイオリン:辻彩奈、指揮:ジョナサン・ノット管弦楽:スイス・ロマンド管弦楽団

フェリックス・メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64、グスタフ・マーラー交響曲イ短調

4/29

東京国際フォーラム ホールA 早見沙織 Concert Tour 2019 "JUNCTION"

5/3

東京国際フォーラム ホールB7 ラ・フォル・ジュルネ・トーキョー2019 ヴァイオリン:ニキータ・ボリソグレブスキー、チェロ:アレクサンドル・クニャ―ゼフ、ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーピアノ三重奏曲 イ短調 作品50

5/30

サントリーホール 指揮:アンドリス・ネルソンス管弦楽ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

アントン・ブルックナー交響曲第5番 変ロ長調

6/1

兵庫県立芸術文化センター ヴァイオリン:バリバ・スクリデ、指揮:アンドリス・ネルソンス管弦楽ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

ドミトリー・ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 作品77、ヨハネス・ブラームス交響曲第1番 ハ短調 作品68

6/2

ザ・シンフォニーホール バリトン:トーマス・ハンプソン、指揮:アンドリス・ネルソンス管弦楽ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

グスタフ・マーラー:「さすらう若者の歌」から”朝の野辺を歩けば”、歌曲集「子供の不思議な角笛」から”等の中野囚人の歌”、”トランペットが美しく鳴り響くところ”、”浮世の生活”、”天井の生活(交響曲第4番 ト長調から)”、”原光(交響曲第2番 ハ短調から)”、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー交響曲第5番 ホ短調 作品64(アンコール:フェリックス・メンデルスゾーン:序曲「ルイ・ブラス」 作品95)

7/19

日立システムズホール仙台 指揮:下野竜也管弦楽仙台フィルハーモニー管弦楽団

ベドルジハ・スメタナ:連作交響詩「わが祖国」

8/1

サントリーホール フルート:マトヴェイ・デョーミン、指揮:ワレリー・ゲルギエフ管弦楽PMFオーケストラ

クロード・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲ジャック・イベール:フルート協奏曲、ドミトリー・ショスタコーヴィチ交響曲第4番 ハ短調 作品43

8/2

サントリーホール 第48回サントリー音楽賞受賞記念コンサート<ピアノ:小菅優>〜サントリー芸術財団50周年記念〜 ヴァイオリン:樫本大進、チェロ:クラウディオ・ボルケス、ピアノ:小菅優

ウォルフガング・アマデウスモーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ト長調 K.379(373a)、藤倉大:『WHIM』(世界初演)、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンピアノソナタ第21番 ハ長調 作品53、ヨハネス・ブラームスピアノ三重奏曲第1番 ロ長調 作品8(改訂版)(アンコール=ウォルフガング・アマデウスモーツァルトピアノソナタ第10番 ハ長調 K.330(300h))

9/15

兵庫県立芸術文化センター 指揮:佐渡裕管弦楽兵庫県立芸術文化センター管弦楽団

アントン・ブルックナー交響曲第8番 ハ短調(ハース版)

9/16

兵庫県立芸術文化センター ヴィオリン:ヴェロニカ・エーベルレ、ピアノ:児玉麻里

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー:懐かしい土地の思い出 作品42、フランツ・シューベルト:幻想曲 ハ長調 D934、ベラ・バルトーク:狂詩曲第1番 BB94a、ニコロ・パガニーニカンタービレ 作品17/MS109、セザール・フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調

11/23

東京オペラシティコンサートホール オーボエ:荒絵理子、指揮:ジョナサン・ノット管弦楽:東京交響楽団

ジェルジ・リゲティ管弦楽のためのメロディーエン、リヒャルト・シュトラウスオーボエ協奏曲、ウォルフガング・アマデウスモーツァルト交響曲第41番 ハ長調 K.551

12/6

仙台市宮城野区文化センター パトナホール ピアノ:早坂有里亜、馬場千尋、福村麻矢、弦楽四重奏:ウィーン・ラズモフスキー弦楽四重奏団

ロベルト・シューマンピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44、ヨハネス・ブラームスピアノ五重奏曲 ヘ短調 作品34、アントニン・ドヴォルザークピアノ五重奏曲 イ長調 作品81

 

 

今年コンサートでよく聞いたものとしては、別に意識したわけではないが、作曲家ではブラームス、次いでチャイコフスキーラフマニノフショスタコーヴィチであった。

感想などはベスト10を選び、翌日別記する。ではまた明日。

schumannianという名前

 2001年の2月だっただろうか、ロベルト・シューマン交響曲第2番 ハ長調 作品61をレナード・バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で聞いていた。 

 今はあまり高くは評価していない演奏だけれども熱いカンタービレにはとても惹かれるものがあった。当時はそういう演奏が好みだったのかもしれない。

 

それから約2年後、同じくシューマンの書いた弦楽四重奏曲第3番 イ長調 作品41の3 第3楽章を当時所属していた管弦楽団室内楽演奏会で弾いたのだが、これが会心の出来。 

 そう、この2曲の鑑賞と演奏によりシューマンの虜となった。

 

ケインズ経済学を支持するものをケインジアン(Keynesian)、ワーグナーの音楽に心酔するものをワグネリアン(Wagnerian)というように、ハンドルネームを決めるときにシューマンの名前をいただこうと決意し、schumannianと名乗ることにしたのである。

 

これを以って、このはてなIDで初めての記事とする。